一見褒めているようで、下げてくる 受動攻撃的なコミュニケーションの理由と対処法
何度も言っていたことがやっとできたことを友人に伝えると、
「いいなあ、あなたにもできるんだ」と言われた。
「そうなのよ、やってみたらできたのよ」と返しながら、
ちょっとひっかかる
家に帰ると、ひっかかりが大きくなってくる
なんてこと、ありませんか?
そのひっかかりはとっても大事。
その理由と対処をお伝えしますね。
わかりにくい受動的攻撃 だけど攻撃のうちの一つ
一見すると、褒めてくれたように聞こえるけれど、
よく考えたら、「あなたにも」って、私を下げてる
「一緒だよ、私もできないことだらけだよ」って
いいつつ、こちらを下だと思ってたんかーい?
って感じですよね。
ラッピングはお友達、だけど、中身はバリバリのマウンティング
というのって結構ありませんか?
表立って力を誇示しないけど、
人を自分より上か下かと判断して、
下の人がいると優越感を持てる人が
が使うやり方です。
受動的攻撃と言ったりします。
例えば、
「昨日、公園に行ったんだ」
「楽しいの?」
そんなの何がいいの? といいたげだと感じる
問い質すと、そんなつもりで言ってない、考えすぎだよと言われて
聞いた私が悪いみたいになってしまう。
でもバカにされていると感じる
そう感じたら、受動的攻撃を受けたということです。
一つ一つは小さいけれど、確実にダメージが重なるタイプのものです。
反論することも難しいし、反論しても言い逃れされてしまいます。
受動的攻撃をするひとはしょっちゅうするので、
複数になったら、そういうコミュニケーションをする人だと
認識しておいた方がいいです。
あるいは、こんなことってありませんか?
あなたが上司に「今週の金曜日、休暇をください」と言うと、
上司:「今週の金曜、はー(ため息)、いいわよ」と言う。
あなた:金曜、まずいですか?」
上司:「いいわよ。」
あなた:「はあ、でも・・」
上司:「いい、って言ったでしょ」
とデスクを乱暴に閉める
言葉ではOKと言いながら、
表情や行動はNOと言っている。
休んではいけないの? と思ったり、
もやもやして気持ちよく休めなかったりしますよね。
上司に攻撃されたと、誰かに相談しても
話の結論では休暇に承諾しているわけですし、
わかってもらいにくかったりします。
ここであなたが休暇を取りやめたとしても、
上司に休暇を阻止されたというより、
自主的に休暇を辞めたことになってしまいます。
でも、その場の空気ではとても休暇をとれるような
気がしない、という方もいらっしゃると思います。
休んでも、休まなくても居心地悪い感じですよね。
コミュニケーションのパターンとしての受動攻撃
聞く耳を持たない親や、虐待、ハラスメントをする人と
長くいると、受動的攻撃をするようになりがちです。
反論したくてもできない状況で、
でも、言われっぱなしでいるのは苦しいから、
自分を守るために、ちょっとだけ、言う。
正面からは言えないから側面から言うというような感じ。
あるいは、身近に受動的攻撃をする人がいて、
コミュニケーションパターンを学んでしまうという場合も
あります。
ただこれって、相手には伝わりにくいし、
誤解されやすいというリスクもあります。
力のある相手の前では、何も言わないというやり方も
あります。非主張的なコミュニケーションです。
これの良いところは、自分を抑えて相手を立てるので、
相手との間にあつれきは生じにくいです。
でも、自分の気持ちや意見を言わないので、相手に理解される機会を
失います。また、相手に譲ったのにとか、我慢したのに、などと
不満を持ったり、それが恨みの気持ちになる場合もあります。
人とのコミュニケーションにおける3つパターン
(1)非主張的 自分よりも他者を常に優先し、自分を後回しにするやり方
(2)攻撃的 自分のことだけ考えて、他者を踏みにじるやり方
(3)主張的(アサーティブ) 自分のことをまず考えるが、相手も配慮するやり方。
受動的攻撃は、(2)の攻撃的コミュニケーションに入ります。
一見、攻撃には見えないかもしれませんが、
相手を自分の思い通りに動かそうとするなど、
支配的だったり、操作的です。
また、相手の思いに無頓着であり、自分本位でもあります。
さっきの例ですと、
休むのはいけないことだと部下が思ってしまうのは、
上司と部下のコミュニケーションの問題なのに、
「休暇を取るのが正しいかどうか」に
論点がずれてしまいます。
例えば上司が、今週は厳しいなと感じているのなら、
そのように伝えることもできるでしょう。
「休暇はいいのだけど、今週は業務が立て込んでるから
来週にしてもらえると助かる」と言うこともできます。
「自分はここ1年全く休暇も取れないのに、いい気なもんだ」
という思いから、あの態度になったのだとしたら、
それは上司自身の問題と言えます。
休暇を取れるように調整するのか、
『休めない』という思いがどこからくるのか、を
検討することが必要になるでしょう。
- 攻撃的コミュニケーションの背景には何があるのか?
攻撃的な人の周りは、怒らせないようにと気をつかっています。
なのに、自分は不遇をかこっているとか、
ついてない、などと思っていたりもします。
攻撃は最大の防御、といいますが、
このタイプの人は攻撃することで自分を守っているのです。
自分を弱い人間だと思いたくない、だから攻撃するということも
あります。
コミュニケーションが攻撃型になっていることに
気がついていないこともあります。
主張しているだけだと思っていることもあります。
ただ、その主張に怒りや不満が乗っていれば
受け取る側は、攻撃と取りやすいです。
受け取る側の問題ではないです。
怒りはどうしてでてくるのか?
『怒り』は理不尽なことが自分に起きた時に
知らせてくれるセンサーの役目があったりします。
また、感情のうちの一つです。
だけど、どこかで、『怒り』は良くない、
怒りを表現するのは、はしたないという固定観念を
持っていることもあります。
そのために、怒りを抑え込んだり、
怒っているのに、泣いてみたり、
笑ってごまかそうとしたりします。
あるいは嫉妬の気持ちが、
相手に対する怒りへと姿を変えている場合もあります。
直接表現することはできない、
でも怒りを持ち続けるのもしんどい。
というところで、
皮肉や批判になったり、持ち上げて下げるなど
別の表現に変わることもあります。
『怒り』のやっかいな所は、
周りのせいで怒らされたと思い込むことです。
「どうしてイライラさせるの」
「あなたの話はイラつくことだらけ」
などと言ってしまうのは、
怒りが不快なので、自分から起こしているとは
思いたくないからなのかもしれません。
まずは、『怒り』の感情を認めるところから
やってみましょう。
ただ、怒りを感じてみる。
何か気づくことがありますか?
何もなくても大丈夫です。
少しだけ、一緒にいてみてください。
怒りってそれほど嫌な感じでは
ないかもしれません。
嫌な感じがあってもいいです。
数秒でも一緒にいられたら大成功です。
アサーティブってどうするの?
『私』を主語にして話す、と言われますが、なかなか難しい。
自分が今、何を伝えたいのか、がはっきりしていますか?
気持ちを伝えたいのか、問題解決したいのか、両方でしょうか。
そもそも、気持ちがはっきりしないから、
話してわかってもらおうとしているという場合もあると
思います。
親しい間柄ほど、そうかもしれません。
いろいろ考えて話すけど、帰ってくるのは、
「わかってるよ」
いやわかっていない、と、もやっとする。
なんてことになっていませんか?
自分の伝えたいことがはっきりしているのなら、
伝え方を変える、ということになりますが、
そこがもやっとしているのなら、
少し自分を観察してみましょう。
もうちょっとわかってほしい、の後ろには
自分ばっかり大変だという思いがあるのか、
手伝ってほしいと言ってからするのではなくて、
気づいてやってほしい、ということなのか。
主張するって、相手を言い負かして勝つ、というような
イメージを持っておられるかもしれません。
自分の思いや意見を伝えるけれど、
それに相手が同意するかどうかは別のことです。
違う意見を持つ人が、意見の背景やそれに対する感情を
聞いたり、言ったりすることで、理解を深めるのが目的です。
情報交換や共有の場合もありますが、
コミュニケーションは、感情のやりとりの部分もあります。
家族など近しい関係であればあるほど、
気持ちをやりとりするコミュニケーションということになります。
非主張的で何も言わないと、聞きたい側はわからなくて、もやっとします。
でも、非主張的になったのは、相手が攻撃的だからという場合もあります。
お互いのコミュニケーションパターンを観察してみるのはどうでしょうか?